不慮の事故

先日 喉に おやつをつまらせ

呼吸停止 心停止 の状態で

ご来院なさいました 6,9キロのトイプードルのわんちゃんが います。

別の患者様の 診察中でしたが お察し下さいまして

この 急患を 優先して下さいました。

深く感謝いたします。

胸部を押しましたが 喉につまった物は 出てくる様子もなく

トイプードルは 呼吸も 停止したままでした。

解剖学を お話致しますと

喉の部分で 食道と 気管が交差しており

食塊や 水が 気管にあやまって 入らないよう

蓋とでも 申しましょうか。。弁が あります。

物を飲み込むとき 弁が 気管の入口を 塞ぎ

飲み込んだものが 気管に 入らないように なっています。

隠れた 生き物の 能力。とでも 申しましょうか・

素晴らしいですね。

プードルちゃんは この弁の手前に 固く大きなおやつの塊が

隙間なく つまっておりました。

スタッフに 大きく口を開けてもらい 喉の奥を見る器具を使いながら

大きなおやつをなんとか とりだしましたが。。。  (↑の写真)

呼吸も 心拍も 戻りません。

なんとか 血管を確保いたしまして 

呼吸や 心拍を 促す処置を 致しましたところ

奇跡的に 呼吸しはじめ 心臓も動きはじめました。

本当に 奇跡です。

しかし 呼吸ができないことにより 内臓や 脳に 酸素が供給されない

時間があるので 脳や その他の内臓も 死んでしまった所もあるのです。

水の事故など 酸素 つまり 空気が 吸えない状況は

簡単にすまされる事例ではありません。

呼吸 つまり 息のできない状況は かなりの苦しみを感じる事だと

思います。

息を止めた状況で 我慢をなさってみてください。

ほんの少しですが 苦しみがわかるかと思います。

窒息 (息ができない状況)は 助かっても 後遺症が 残る事もあります。

脳に酸素がいかなかったため 意識がない状態で 生きることもありますし

脳のダメージを受けた場所が 足の動きをつかさどる所だとしましたら

歩くことも 立ち上がることもできなくなるのです。

息ができず 亡くなる場合は 心臓に酸素が供給されなくなり

心臓が 止まってしまうのです。

酸素は とても大事ですね。

私達 哺乳類は 空気を吸い 生きていますが

この空気の中に 酸素が 含まれています。

空気には 窒素も含まれていますが 吸い込んだ空気の中の酸素と

血液の中のヘモグロビンが結合して 内臓や 脳に酸素を運んでいるのです。

さて 今回、喉につまったおやつは

骨の形をしている ジャーキーの 丸い部分です。

このような 不慮の事故を ブログでとりあげるのも どうかと思いましたが

この事例は 初めてではなく 何例か 経験をしているのです。

骨型で 両端が丸く大きな塊で 塊と塊の間が 棒状の ジャーキー

このおやつの 丸い部分を喉につまらせ ご来院なさる事例を

何例か 経験しています。

皆様の中には 

販売しているのだから 大丈夫なのよ!

と お話して下さることもありますが。。。

こんな恐ろしい事故も 起こることがあるのです。

不慮の事故。。。

確かに 思いもよらない事が起こることもあります。

想定外。。。。

確かに その通りですが。。。。

日頃 

大丈夫だろう。という 安心な気持ちも大切ですが

喉につまる かもしれない。

という かもしれない。。。を 考えてみることも

必要なのかな?と思います。

今回も わんちゃんを 後遺症もなく 無事にお返しできたことを 

奇跡と思います。

 

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